すべり症とは、腰椎分離症がきっかけとなって発症する腰の病です。分離症とは、椎弓の一部が生まれつき、あるいは過激な運動、特に体を反らせる動作を長く続けたり、一瞬激しく反らせたりしたときに、腰の骨が離れてしまう状態を言います。
そして、この分離症によって離れた骨がさらに滑って前へ(まれには後ろへ)出てしまった状態をすべり症と言います。
すべり症は少年や少女に発症する率がとても高く、統計によると全体の10%強くらいは、小・中・高生の子供に発生しています。
また、成人になってすべり症を発症する人のほとんどが、小・中・高で激しいスポーツをやっていた人に多く見られる傾向にあります。
しかし、激しいスポーツをした経験がないにも関わらず、一般成人ですべり症を発症する人の場合、持続的に腰を使う仕事や瞬間的に腰を反らすような動作をしたときに多く発生している傾向にあります。
すべり症が小・中・高生に多く発症する原因は、骨がまだ完全に形成されていない時期に、生理的な許容度を超えた腰の捻りや反りが与えられる激しいスポーツをしてしまうことにあります。この激しい動作によって骨が分離し、すべりを起こすことが多いのです。
例えば、野球であればピッチャーはボールを投げるときに何度も腰を反ります。サッカーでもボールを蹴るとき、ヘディングをするときに腰を反ります。
特にサッカーでは技術不足や練習不足によって、地面も一緒に蹴飛ばしながら、ボールを蹴り出す子供が多くいます。
このような動作は腰にかなりの負担を掛けてしまうことになり、分離症やすべり症を発症するリスクを高めることになります。
また、スポーツ選手の中で特にすべり症を発症する確立が高いスポーツはバレーボールです。ご覧の通り、バレーボールはスパイクを打つとき、腰を大きく反りながら打ちます。
スパイクを打つときも、ボールを投げたり蹴ったりするときも、1回、1回の動作はたいしたことありませんが、これらの動作を何回も繰り返しているうちに、骨が完全に形成されていない未熟な身体が悲鳴をあげ、すべり症や分離症を発症してしまうのです。
ですが、すべり症を発症した何%の方は痛みもなく、無症状で生涯を送る人も多く、現代医学を持ってしても未だに不明な部分が多いと言われ、完全にはそのメカニズムは解明されていません。
現在で分かっているすべり症の発症メカニズムは以下になります。分かりやすく画像を使ってご説明していますので、ご覧になってください。
すべり症を発症する場合、ほとんどが第五腰椎に起こりますが、時には第四腰椎などにも起こることがあります。激しいスポーツをする人や重労働をする人に多くみられますが、脊椎がこの状態にある人たち全てに症状が出るわけではありません。
また、たまたまレントゲン検査をして見つかるといったことも多いのです。ですから、痛みの症状もなく日常生活になにも影響がない場合には、すべりの状態があったとしても、“すべり症”と病名をつけられることもありませんし、心配もいらないのです。
すべり症の場合、極端に言うと骨が階段上になり、背骨が滑り、腰椎が前の方へ滑り、そして、仙骨の間が階段上になります。若い間、中学の始めくらいまでは骨と骨が引っ付く場合もあると言われています。
ですが、治療において一番大事なことは、引っ付く、引っ付かないの問題ではなく、骨を元の状態に戻してやることがとても大事なのです。
しかし、一般的に行われている治療のほとんどは対処療法のところが多く、すべり症を根本から改善する治療が行われているところはほとんどないのです。
また民間療法である整体やマッサージ、カイロプラクティック、鍼灸治療なども根本的解決になることは少なく、どれも一時的に痛みを緩和するだけの対処療法になります。
中には整体やマッサージ、カイロプラクティック、鍼灸治療で改善したという人もいますが、民間療法ですべり症が改善することはなかなか難しいと思います。
民間療法に通われた方なら分かると思いますが、その時は一時的に良くなっても、数日も経たないうちに痛みが再発したり、元に戻ってしまった経験があるはずです。
まだ少しでも症状が改善された方はいいですが、中には治療を受けたことによって、症状が悪化してしまった方は少なくありません。
特にカイロプラクティックでは、症状悪化を招く人が後を絶たず、厚生労働省ではカイロプラクティックやあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうはとても危険なので、治療を受けないようにとホームページで訴えています。

厚生労働省 医業類似行為に対する取扱いについて(ホームページより一部引用)
何故、治療を受けたにも関わらず、症状悪化を招く人が多いのか。その理由は、カイロプラクティックや整体、マッサージ、鍼灸治療もすべり症を根本から治すという大事な部分に触れていないからです。
すべり症を根本から治すには、以下3つのことがとても重要です。
「崩れている身体のバランスを全身から整える」
「腰椎周りに適切な筋力をつけるためのトレーニングを行う」
「今までの日常生活を見直し、一人、一人にあった個別の指導をする」
この3つのことをしっかりとやっていかないと、すべり症はいつまで経っても治すことはできません。
しかし、具体的にどのような治療やトレーニング、日常生活を送ったらいいかなど、整形外科や民間療法の治療院では、なかなか適切にアドバイスしてくれるところは少ないと思います。
そのため、すべり症を根本から改善できる人が少なく、いつまで経っても症状が良くならず、いくつもの病院、治療院を周ることになってしまうのです。